【政治】急転!東京高検検事長人事【マスコミ】【長め】

今日は、他の話題を投稿する予定でしたが、東京高検検事長人事が急転しましたので、そちらの記事にします。関連する記事です。

rkm.hatenablog.com

何が起きたのか

ニュース記事を元に、何が起きたのか整理します。

黒川氏の問題点

この件について、2点の問題が挙げられてます。

  1. 賭けマージャン
  2. 産経新聞の用意したハイヤーで帰宅

なぜ「賭けマージャン」が問題か?

マージャン(麻雀)で遊ぶこと自体は、全く問題がありません。今は「麻雀のプロリーグ(Mリーグ)」もあります。問題は、マージャンの勝ち負けで「賭け(賭博)」をすることです。

賭博(とばく、: gambling: Glücksspiel: jeu d'argent)とは、金銭や品物を賭けて勝負を争う遊戯(遊び)のことです。

賭博罪は、刑法で定義されています。関係部分を引用します。

博)
第百八十五条  博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を けたにとどまるときは、この限りでない。
(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
2 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

なお、賭博罪が成立するためには、当事者双方が危険を負担すること、つまり、当事者双方が損をするリスクを負うものであることを要します。

また、第百八十五条但し書きの「一時の娯楽に供する物」は、判例・通説によれば、缶ジュースや食事など、関係者が一時娯楽のために消費する物をいうようです。また、それらの購入のために金銭を支出しても、賭博罪は成立しないという判例があります。

これ以外の金銭は「一時の娯楽に供する物」には、当たりません。つまり、今回の「賭けマージャン」は、賭博罪が成立する可能性が高いです。

産経新聞の用意したハイヤーで帰宅」はどうなの?

産経新聞の用意したハイヤーで帰宅」については、以下の報道がありました。

www.tokyo-np.co.jp黒川氏は、三年前から月一、二回程度の賭けマージャンを繰り返し、帰宅の際、記者が自分の帰宅用に手配したハイヤーに同乗したと説明した。

 これ、収賄罪にならないのかなあ? 収賄罪も刑法で定義されてます。

収賄、受託収賄及び事前収賄
第百九十七条 公務員が、その職務に関し、賄 を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。
2 公務員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、公務員となった場合において、五年以下の懲役に処する。

 ただ、「財産上の利益」を供与しないと、収賄罪にならないようです。

微妙ですね。特に「ハイヤーに同乗」というところが。

林真琴・名古屋高検検事長検事総長になれるのか?

 前回の記事で分析しましたが、この関係で分析が変わってきました。

rkm.hatenablog.com

現在の検事総長、稲田伸夫氏が満65歳になるのは、2021年8月13日らしいです。一方、黒川氏の対抗馬である、林真琴・名古屋高検検事長が満63歳になるのは、2020年7月30日とのことです。

ただ、稲田伸夫氏が2020年8月に退官しなければ、黒川弘務氏が検事総長になることはないわけで・・・

 まず、黒川弘務氏が検事総長になることは無くなりました。

しかし、林真琴・名古屋高検検事長が満63歳になるのは、2020年7月30日ということなので、以下の条件のいずれかが成立しないと、林真琴・名古屋高検検事長検事総長になることはないと考えます。

  • 稲田伸夫氏が2020年7月までに退官する
  • 林真琴氏の定年が2021年8月14日以降まで延長される
  • 林真琴氏の定年が延長され、林真琴氏の定年までに稲田伸夫氏が退官する

 賭けマージャンの相手は、問題ないのか?

 マージャンは普通4人で行ないます(3人マージャンや5人で交代とかもありますが)つまり、産経新聞社会部記者や朝日新聞の元検察担当記者ら3人の相手が存在します。

一般に、法令に基づいて行われる行為や社会通念上正当な業務による行為は、刑法第35条の「法令又は正当な業務による行為」として、刑法に規定された罰条に該当しても犯罪は成立しません。

 しかし、この「賭けマージャン」が「社会通念上正当な業務」とは言えないと思います。したがって、その3人も、賭博罪が成立する可能性が高いです。

その割には、朝日新聞産経新聞はダンマリですね。

 追記(2020/05/23)

毎日新聞が「官邸、(検事)総長の辞職要求」(注:この場合の「官邸」は「内閣」と解釈すべきでしょうね)と報道してます。

mainichi.jpでも、稲田伸夫・検事総長が退任したら、林真琴・名古屋高検検事長検事総長に就任することになるのでは?他の候補がいるのかな?

「(朝日新聞とズブズブの)林真琴・名古屋高検検事長検事総長に就任させたくないから、黒川氏の定年を延期」というストーリーがぶっ壊れてますけど。

 追記(2020/05/27)

 黒川弘務前東京高検検事長(63)の後任に、林真琴名古屋高検検事長(62)を充てる人事が正式発表されました。

www.sankei.com