【政治】結局 #検察庁法改正案に反対します ってなんだったの?【長め】
たまには、政治の話もします。
先日、Twitter のトレンドに入ったハッシュタグ「#検察庁法改正案に反対します」って、なんだったのか、まとめてみます。
検察庁法改正案の内容
まず、検察庁法改正案の内容を見てみます。
- 検事正は、満63歳で役職定年とする。ただし、法務大臣は最大2年まで役職延長を認めることができる。
- 定年退職した検事正を再雇用した場合は、法務大臣は最大1年まで役職延長を認めることができる。
- 上席検察官についても、検事正と同様の扱いとする。
- 年齢が63歳に達した者は、次席検事または検事長に指名できない。
- 次席検事または検事長で年齢が63歳に達した者は、法務大臣が検事に任命する。ただし、内閣は最大2年まで役職延長を認めることができる。
- 定年退職した次席検事または検事長を再雇用した場合は、法務大臣は最大1年まで役職延長を認めることができる。
- 検察官は、国家公務員法60条の2(適格性審査及び幹部候補者名簿)を適用しない。
- 検察官は年齢が65歳に達した時に退官する。
- なお、令和4年4月1日~令和6年3月31日の間は、定年を検事総長は65歳、その他の検事は満64歳とする。
仮名遣いなどの変更や、過去の附則で、現状には無関係な条文の削除を除けは、こんな感じです。さらにザックリまとめると、以下のようになります。
- 検察官の定年は65歳とする。
- 検事長・次席検事・上席検察官・検事正の役職定年は63歳。ただし、最大3年まで役職定年を延長できる。
- 年齢が63歳に達した者は、次席検事または検事長に指名できない。
- 検察官は、国家公務員法60条の2(適格性審査及び幹部候補者名簿)を適用しない。
単純に「検察官の定年延長」と「役職定年の新設」ぽいですね。なにが問題なのかわかりません。
「束ね法案」とは?
この件に関連して「束ね法案」という言葉が出てきました。その意味は、
複数の法律を改正等しようとするときにこれらを束ねて一本の法律案として提出する
ことらしいです。
実は、検察庁法改正案は、国家公務員法改正案に含まれています。PDFですが、リンクを貼ります。
http://www.cas.go.jp/jp/houan/200313/siryou4.pdf
この改正案をみると、33本の法律についての改正が含まれています。このような改正案を「束ね法案」というようです。
ということで、「検察庁法改正案」だけの先送り・廃案はありえず、「国家公務員法改正案」全体の先送りになったわけです。
「東京高検検事長を務める黒川弘務氏の定年延長」問題とは?
東京高検検事長を務める黒川弘務氏の定年延長が問題とされている。
その内容は、週刊女性の記事「芸能人が“安倍人事”に続々NO!検察官の定年延長法案は「治安悪化を招く」」から引用すると、
この法案が批判を集めているのは、遡ること1月31日、東京高検検事長を務める黒川弘務氏の定年延長を政府が閣議決定したからだ。黒川氏は2月8日の誕生日に63歳となり、検察庁法で定められたとおり定年するはずだった。だが安倍政権は、定年を8月まで延長すると言い出したのだ。これによって黒川氏は、次の検察トップである検事総長になる可能性も出てきた。
という内容です。
現在の検事総長、稲田伸夫氏が満65歳になるのは、2021年8月13日らしいです。一方、黒川氏の対抗馬である、林真琴・名古屋高検検事長が満63歳になるのは、2020年7月30日とのことです。
ただ、稲田伸夫氏が2020年8月に退官しなければ、黒川弘務氏が検事総長になることはないわけで・・・
さらに、この問題は「検察庁法改正案」「国家公務員法改正案」とは、直接関係ないです。
「三権分立」の問題なのか?
三権分立とは、国家権力を3つに分け
この様に独自の機関に権力を保持させ、強大な国家が権力の濫用により暴走することを防ぐ仕組みです。こうして一箇所に権力が集まらない様にすることでバランスを取っています。また各権の行使をそれぞれ別の機関が担い、お互いを監視しあうシステムになっています。
検察官になるには「司法試験」に合格し「司法修習」を受けなければなりません。そのため「司法」と誤解されている場合がありますが、検察官及び検察庁は「行政」です。
なので、検察官・検察庁が内閣・法務大臣の指揮を受けるのは、当然です(検察庁法第14条に規定があります。)。
第十四条 法務大臣は、第四条及び第六条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。
このことから、この問題は「三権分立」とは無関係です。
じゃあ、何が問題だったのか?
問題点としては、以下の項目が挙がっています。週刊女性の記事「芸能人が“安倍人事”に続々NO!検察官の定年延長法案は「治安悪化を招く」」から引用します。
「単に検察官の定年を65歳にするだけなら問題ありませんが、内閣の判断で延長できる条項を盛り込み、その基準すら示されていない。これでは時の内閣の恣意的な政治判断で検察上層部の人事に介入できるようになってしまう。言わば政権の"お気に入り人事”が合法的に制度化されてしまうことが大問題なんです」
でも、現行の「検察庁法第15条」に「検事総長、次長検事及び各検事長は内閣が任命する」とあります。
つまり、現在でも(民主党政権の時代でも)"お気に入り人事”が合法的にできるわけです。これは、内閣が検察の暴走を止めるために必要な制度だと考えます。
さらに、週刊女性の記事「芸能人が“安倍人事”に続々NO!検察官の定年延長法案は「治安悪化を招く」」から引用します。
『桜を見る会』やモリカケ事件などを通して、起訴されるべき人が起訴されず、検察や司法に対する国民の信頼が歪められる事態がすでに起きています。
逮捕しない、起訴しないと判断したのは、検察総長ではなく個々の検事であり、さらに法務大臣が「指揮権」を発動したという話もありません。したがって、上記の内容は難癖でしかありません。
「体調を崩しても検査は受けられず、マスクさえまともに配られていない。給付金も、いつ受け取れるのかわからない。
誰も守ってくれないから自分の身は自分で守らなければと思うようになり、外出自粛しない人を監視する『自粛警察』の動きにつながっていきます。自粛警察がはびこる世の中は弱肉強食です。女性や子どもが攻撃されやすい」
この部分は、単なる安倍政権への批判(「アベ政治を許さない」「アベ死ね」「アベが~」のレベル)でしかなく、「検察庁法改正案」「国家公務員法改正案」とは関係ない難癖です。
つまり、「検察庁法改正案」「国家公務員法改正案」には問題なかったと判断してます。
結論として
結局、ハッシュタグ「#検察庁法改正案に反対します」というのは、安倍政権が続くと困る勢力(「パヨク」や「エセリベラル」と呼ばれています)と一部マスコミが難癖をつけ、政権弱体化を狙ったところに、特定野党(日本共産党・立憲民主党・国民民主党・社民党・自由党)が乗っかった感じですね。
ただ、今回は芸能人が動いていることから、外国勢力(中国?・韓国?・北朝鮮?)なども動いたのかもしれません。
追記(2020/05/22)
この記事を投稿した後、「東京高検検事長を務める黒川弘務氏の定年延長」問題が急転しました。
その辺りは、別記事でまとめます。